鍵泥棒のメソッド

先日、エンディングの曲が吉井さんの曲ということもあり、見て来ました。

率直に言っておもしろかった!
前回の『アフタースクール』が一回り成長した印象を受けました。

喜劇としてのコミカルさとテンポも良いし、
ぐるっと回転しておもしろい結に繋がるこの手の作品は好物なので、
「良くできてるなぁ」と見終わってからも関心が残りました。

そしてね、さらっと分かる人には分かればよいのです...
ぐらいにオブラートに包まれた教訓めいたものを私は感じたのですが、
感じたからこそ、いろいろ考えさせられる作品でもありました。

見る人はみんな香川さんが"良く"映るのだろうけれど、
なんだかんだで立ち位置は堺さん側の人が多いのではないのでしょうか?
両者コミカルに演じていても、
香川さんのような記憶を無くしても、
全てに於いて「努力します」という言葉通りに努力できる人にはそうそうなれないもの。

しかも堺さんは最後の最後まで良いところがないんだよね...。
最後にはお互いが同じレベルで幸せというわけにもいかないし、
香川さんの人生は劇的に変わったけれど、
堺さんは経験はしたけれども生活に大きな変化はなかった。

その辺りは凄くシビアに描かれているとも取れました。

最後のエンディングがせめてもの光かな。


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| 23:21 | movie | comments(0) | - |
 ノルウェイの森
「ノルウェイの森」を見て来た。

行く前にMovieWalkerで上映時間を調べたのだけれど、
その際目に入った評価がかなり低かった。
友人からも「良いと言う人とやっぱり小説に思い入れの強い人で駄目と言う人と両極端らしいね」そんな意見をもらった。

でも、この作品は公開時に見に行くと決めていたから。

見終わってみると、どこが良いとかどこが悪いとかそういうことは関係なく、
ただただ重たい余韻が残った。
ちょっとまだ物語のなかから抜け出せていないような感覚。
きっとそれだけ人を包み込んでしまうエネルギーがこの作品にあったのだと思う。

小説内の台詞を映像にするには云々、
やはり情景や心情が伝えきれていない云々、
ケチはどこにでもつけることは出来るのだと思う、
だって最初に文章というオリジナルありきの世界だから。

そういう結果もあるだろうことは創る前から簡単に想像できる。
それでも自分なりの解釈と創造性で「挑みたい」と果敢にぶつかったトラン・アン・ユン監督は素晴らしいと思う。

私には見て価値の見いだせる作品でした。

見ている最中に思い出したのだけれど、
私の初村上作品はこの「ノルウェイの森」でした。
当時好きだった人が上手く説明はできないけれど村上春樹が好きで
この作品を絶賛していたのがきっかけとなったんだった。
だからこそ、私にとっても思い出の1ページにこの作品は刻まれているのです。
あの人も今回の映像化を心待ちにしていたんじゃないかな。

できれば公開中にもう一度、見に行きたいな。

『「ノルウェイの森」という作品は自分にとっては特別な作品であり、映像化は無条件でOKというわけにはいかない。でも、トラン監督の作品は好きで、とにかく会ってみようと思った。』

村上さんがこう思ってくれたことに感謝します。

| 22:57 | movie | comments(0) | - |
 ONE PIECE THE FILM

海賊熱を帯びたまま見に行きたかったから、
前夜に"PIRATES OF THE CARIBBEAN"の1作品目を見てたら物の見事に途中で寝てた。

いやぁ、東映のアニメ映画を映画館で見たのって何年振り?
ん?ン十年ぶり?

さてさて感想は・・・

ルフィ、足がデカくなりすぎ。

ゾロ、顔が増えすぎ。

ナミ、胸がデカすぎ。

サンジ、ゴリラ語理解しすぎ。

チョッパー、可愛さを武器にしすぎ。

ウソップ、いつもながら鼻水出しすぎ。

ロビン、今回はなぜか弱すぎ。

ブルック、部分痩せ無理しすぎ。

そしてフランキー・・・出番少なすぎ::

な〜んてね。

シキの竹中さんは違和感無かったです。
声優は今回が初じゃないし、いい味出てました。

さてさて、続きは↓

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| 00:28 | movie | comments(4) | - |
 サマーウォーズ
9月に入ってやっとサマーウォーズを見て来ました。

いやぁ、分からない人には分からないかもしれない・・・
突っ込もうと思えば突っ込める箇所も多々あると思う・・・
そして上の予告だけでは何なんだろう?と不可解にも感じると思う・・・
(かくいう自分が劇場予告で見た時はそうでした)

けど・・・

面白かったです!

細田さんの作品って細部なんて気にせずに、
ただドッパァ〜〜ンと大波を引き寄せるごとくストーリーに山場を設けるんです。
そしてそのテーマは毎回シンプルだけれど、胸に響けば力強いもの。

昨年はポニョとスカイクロラが公開していたわけですが、
御大2人と違い、細田さんは・・・エネルギッシュだ!!そう感じました。
ドキドキとワクワク・・・これって2時間もので持続させつつ、
最後まで引っ張るのが難しいだろうに、
この映画を要約するならばまさにこの2語に尽きるでしょう。

最近は面白いものってすでに出尽くしてしまっていて、
目の肥えているけど刺激を求める視聴者の方が作品を見下ろしているような感覚を少し持っていたのです。

けれども違うんですね。

愛情を込めて「これで勝負だ!!」と自信を持って意気込む人が創る物は
常に新鮮で人々を感動させる力をもっているんだな、
そう今回の作品で思ったのです。

自分にしか創れないぞ!!という確固たる信念、いいなぁ。

細田作品の醍醐味はやはり、夏と青春なんだな、とも思いました。
いやぁ〜、楽しかった♪

| 01:47 | movie | comments(2) | - |
 CHE 28歳の革命

今日、やっと観ることが出来ました。
ベネチオ・デル・トロ演じるチェ・ゲバラを。
とは言っても、まだ後半の「39歳別れの手紙」は来週のお楽しみです。

今日の内容は、
キューバのサンタ・クララを占領し、バディスタ政権が崩壊したところまで。

この映画は基本の時間軸の合間合間に
未来の米国でのスピーチ映像が差し込まれていたりするので、
ある程度ゲバラの人生史を読み知った人でないと
物語の推移に付いて行けないかもしれません。
そしてゲバラのキューバ上陸後から
ボリビアで殺害されるまでという11年を集約しており、
こここそが見せたいという、
大きなスポットを当てるべき山場は特別視されていません。
だからこそ物語はただ淡々と写るし、
端折るところは端折る必要性も出て来るので
映画祭で賛否両論だったという情報も頷けます。

ただ、自分にとってはいい映画、悪い映画の判別対象ではなく
「見ておきたい」映画だったので満足しています。
この映画は製作がスタートするという情報を耳にし、
デル・トロがゲバラを演じると知ったときから興味を持っていました。
デル・トロを俳優として知ったときから、
ゲバラにどこかしら風貌が似ていると思っていたからです。
だからこそこの役者がどんな独自のゲバラ像を創り出すのか興味があったわけですが、
映画上映の前にゲバラの写真と共に
僅かながら彼の人生をかいつまんで説明する時間が設けられていました。
そしてその写真を見つめたせいだったのだと思います。
本編上映中は常にスクリーン上に居るのは、
あくまでもフィクションで彩られたゲバラなんだと、
どこかしら寂寥感が付きまといました。

いつのころからか、
自分はゲバラの写真を見るだけで切なくなる体質になりました。

ゲバラを知りたての頃はその熱意溢れる眼差しに気持ちを駆り立てられていたはずなのに、
彼の人生を最後まで知り、
どういう死に方をしたかまで一通り覗き込んでみたら、
切なさの方が増すようになったのです。
きっと年々年を経る自分の心境の変化、
特に自分の弱いと認めざるをえない部分の広がりを
認識することも少なからず影響しているのだろうけれど、
彼の一度選んでしまった革命家という道は
革命家で終えるしかない壮絶な現実が時に自分には辛すぎるのです。

格好いいだなんて生半可な気持ちで簡単に吐けない。

自分もこうなりたいだなんて同じ土台対象で考えるべきじゃない。

彼の言動はあまりにも魅力的で自分の胸を打つけれど、
自分は自分でしかない。
それが彼の文章や史実を見返す度に思い知らされること。
だから今の自分にしか出来ないことをしよう、
それが彼の人生から教わったことなのです。
行うことの大だの小だのという人の見方によって変えられてしまう曖昧な大きさを求めるのではなく、
常に前を向いていられるか・・・
歩き続けることが出来ているか?
それが彼の遺した作品に触れる度に思い返されること。

裕福なアルゼンチン人でありメキシコに渡りフィデルに導かれキューバへ。
革命終了後、コンゴに向かうものの挫折し最期の地、ボリビアへ。
人々に求められ、崇められると同時に批判もされ、
最後の最後まで愛と情熱を携えた革命家でした。

革命はどこまでも完全にはなりえない、
それは本人こそが一番よく知っていたこと。

| 22:28 | movie | comments(0) | - |
 鴉
クローズZERO、面白かったんです。

昨年の公開終了時にギリギリで観たのですが、
今年4月には同じ三池監督と主演者でクローズZERO2が公開されます。

三池監督と言えば、3月にはヤッターマンも公開されるし、凄いハードスケジュールですね。
実はヤッターマンもあの予告を観てからと言うもの、ちょっと興味沸いてます。
しかしこの2作品、同じ監督なのに内容の違いが両極端だよな。

そしてクローズZERO2、今回は金子ノブアキことアックンが出るというオマケ付きざんす。
オマケはあくまでも自分にとってなんですが・・・
「アックンが出るのか!じゃあ劇場行くっきゃねーな!」そんな感じです。
何でも鈴蘭高校の今回のライバル校、ハゲの軍団鳳仙学園のトップを演じるのだとか。
(大丈夫、アックンはハゲじゃありません)
あと吉井さんご推薦の山田孝之君も前回に引き続き出ています。

山田君の長髪、最初意外だったのだけれど何げにいいんだよなぁ。

そんなこんなで今回も見所が満載で内容の濃い良い作品だといいな。

| 23:25 | movie | comments(0) | - |
 ブーリン家の姉妹
先週の水曜日に「ブーリン家の姉妹」を見て来ました。

歴史物語が好きな自分としては凄く面白く、興味を掻き立てられる内容でした。

舞台はイングランド、時代は16世紀、2人の姉妹が一人の男・・・
イングランド王を愛するというお話です。

姉であるアン・ブーリンは今の世でも知れ渡るヘンリー八世の第二夫人です。
その劇的な頂点に登り詰めた人生と対照的な悲劇的な末路、
そしてエリザベス一世を産んだ母親として有名となった彼女ですが、
彼女の妹であるメアリー・ブーリン(実際は姉か妹か分かっていないそうです)は
控えめで我を通さず、
時代に流されつつひっそりと生きたからこそ歴史上から忘れ去られていました。
そんな対照的な姉妹2人を主人公とした映画なのですが、
視点が常に女性側からなので
国政や外交云々の話はなく常に物語を引っ張るテーマは愛と憎悪です。

2人の姉妹、それぞれ対局な性格ゆえ、
一人が王に愛されればもう一人は憎悪に染まる。
けれども姉妹だからこその思いやりも捨てきれないのです。
しかも時代は群雄割拠の中世デューダー朝全盛期。
時代背景としても2人をより劇的に映し出している気がしました。

しかし最後は生前の生活がたたって歩けなくなり、
鼻がずり落ちるまでに成り果てたヘンリー八世の俳優の凛々しい事。
残っている肖像画もメタボばかりの彼なので、
物語最初にはヘンリー八世が今回の王だとは気付きませんでした。

帰宅後、この時代を少し調べ直したのですが、
やっぱり国と国とが混ざり合い過ぎていて未だ正確には判別つかない王や女王多しです。
ヨーロッパ全体で勢力拡大と和平を目的とした王族同士の結婚全盛期なので、
◯◯がスペインに嫁いで、××がフランスへ奉公、そして・・・
そんなこと考えている状況はまるで神経衰弱のゲームの様です。
しかも同じ血脈や前王にあやかりたい場合、名前が同じになる・・・
〜世がつくだけでどれがどの時代だっけ?そうなって当たり前ですよね。

ちなみにこんがらがる例としては、
この作品の妹の名前はメアリーなのですがアンの前の王妃の娘もメアリー。
そしてこの娘はエリザベス一世の前の王女となります。
ちなみにカクテルのブラッディ・メアリーとは彼女のことです。
そしてエリザベスと同じ頃、スコットランドの女王がメアリー・スチュワートです。
映画エリザベスで彼女に処刑されるメアリーです。

内容も血も濃いので理解出来れば面白いのですが、
理解するまでがなかなか・・・
もっと深く掘り下げてみる必要がありそうです。


| 22:29 | movie | comments(0) | - |
 スカイ・クロラ
アニメ映画を続けて観ました。
崖の上のポニョに続くは押井守監督作品の「スカイ・クロラ」
以下、自分がこの作品で感じたことをつらつら書いてみようと思います。

ポニョを観てから、あまり日を開けずに観たものですから、
より描く世界の違いが色濃く写ったかもしれません。
物語をどこから彩るか・・・、その差がこの2作品はあまりにも両極でした。
ポニョはキャラクターありきで紡がれた世界であるのに対し、
スカイ・クロラは物語を世界観が支配しています。
ポニョは画面内全ての存在に生を感じるのに反して、
スカイ・クロラはキャラクターを含めた全てが物に見える部分があります。
言うなれば、あえて現実味のないキャラクターにすることにより、
物語全体により効果を、そして意味を持たせている。
なので締め括りまで物語に着いて行けば面白く感じるのだろうけれど、
途中途中の場面においてはキャラクターに味がないので、
たるく感じて一気に物語から距離を置いてしまう人もいるかもしれません。

監督2人について言えば、
宮崎監督はなんだかんだ言っても常に人間に焦点を合わせているので、
「人間が好き」と思わせられるけど、
押井監督は果たして「人間が好きなのか?」と疑問に思いました。
ただ、面白いのは物語を演出する視点は違えど、
両監督が伝えたい、描きたいとい、
問い掛けたいとう根本のテーマは同じだろうということ。

前回のポニョにおける感想で、
「子供と年寄りに焦点を当てることで云々・・・・」と書いたのですが、
スカイ・クロラはまさにその間の年齢・・・社会に属し、
毎日を巡る世代に見やすい作品のような気がします。
(押井作品としては抜群にシンプルで分かり易いかと思いますが、
 ただ、このことは一般大衆に焦点を当てて言うのであるならば、
 決して見やすい作品という訳ではありません)

ではでは本編について。
以下、ネタバレ満載でございますのであしからず・・・

まずはOPシーンの鮮やかさ、壮大さに惹き込まれました。
空好きな方は最初のシーンだけでも見る価値があると思います。
(お試しとして、上部の作品名から予告編を見るだけでもゾクゾク出来るやもしれません)

そこに描かれたのは大きいようでいて同時に小さくもある世界でした。
例えるのなら箱庭宇宙のような世界かな。
だからこそ、置かれた人物、舞台、何もかもが凄く象徴的。
そしてそのような世界の描き方から、
とても哲学めいた、あるいは思想色の濃い映画だという印象を受けました。
哲学の根本である「自分は一体何者なのか」そして「この命はどこへ行くのか」とどのつまり、

「生きるとは何か?」

この問いを観客に真っ向から投げつける作品だと思えたから。

しかも物語上では、デジャヴがこの世界を表す大きなキーワードとなります。
デジャヴが存在するということは、
物語上の世界には回転(ループ)が存在するということ。

そう考えると、宗教の類の思想も連想させられることになるのです。
ただ、現実世界におけるデジャヴと大きく違うことは、
よりストーリーを飲み込み易く、問題提起として際立たせるために
「その回転を登場人物が認識していること」です。
それに加え、主人公である子供たち(キルドレ)には絶対あがなえない存在がある。
(これの詳細については追記にて)
だからこそ、世界は道徳よりも退廃の色が濃く、残酷に映ります。
死(自分の存在)と、あまりにも痛烈に向き合って生きざるをえない登場人物たち。
そんな背景を土壌として描かれるのがメインキャラ2人の間に常に存在する愛。
だからこそ、より生きること、存在するということを色濃く考えさせられる気がします。

そしてこの映画のもう一つのキーワードは戦争。
(奇しくも今日は広島へ原爆が落とされた日だったので、内心ドキリとしました)
物語上では「ショーとしての戦争」が描かれます。
人間社会において、もう戦争という存在を無くすことは出来ない。
そして戦争がない世界に於いては比較対象を失うことから平和も存在し得ない。
そこでいわば戦争がスポーツ感覚で企画されることにより、
通常の人々の生活は平和を維持出来るというシステムになっているのです。
パクス・ロマーナ(ローマの平和)におけるコロッセオ内でのショーと同じことですね。
ただ、この物語内での描き方は近代の戦争(米ソしかり、中東しかり)を、
あまりにも滑稽に思わせる、あるいは揶揄しているかのように感じました。
血腥さなど連想させない描き方だったからこそ、
よりシンボリックに映ったからかもしれません。

そして全編を通して音の演出が細かかった!
小雨降る野外でのドライブ中、羽虫の飛ぶ音が始終入っているのですが、
観ている側に、その天気と羽虫の音が生む鬱陶しさをも投げかけようと想定してのことか?
そんなふうに勘ぐったりもするほどでした。

最後に・・・観ている最中、この脚本を実在の人間ではなく、
アニメにすることでより効果は生まれているんだろうか?と思うことがありました。
今のCGの技術などのレベルを考えると、実写でもそれなりに撮れると思ったのです。
綺麗すぎる舞台背景に合わせ動く人物はとてつもなくシンプルな平面デザイン。
けれどもこれが何だか妙な有り得ない世界を作り出しているような気もしました。
言い換えるのならば、あまりにも精密に作られているけれども、
どうも嘘くささも感じる・・・みたいな。
そう考えると、アニメという媒体は今作品で武器に成りえているのかもしれないな、と。

MovieWalkerでの批評レビューも賛否両論でしたが、
自分には観る価値のある一本でした。
押井監督の、「生きている実感のない若者」を物語の主人公に据えることで
「今の若い人たちに伝えたいことがある」と言った制作理由が果たしてどう伝わったのか・・・
それが気になるところです。

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| 22:07 | movie | comments(2) | - |
 新作映画のこと
映画の話題が続きますが・・・
村上春樹さんの「ノルウェイの森」の映画化が決まったようですね。
村上さんの作品を映画にする、これは本当に難しいと思うし、
ましてや下手に有名役者を使って描かれるのは真っ平御免だったのですが
監督がトラン・アン・ユンと知り、興味が出ました。
彼は「シクロ」、「青いパパイヤの香り」、「夏至」を撮ったベトナム出身、
フランス育ちの監督です。

物語の舞台は本人の出身地に合わせ全てがベトナムなのですが、
この原色鮮やかなアジアの国を舞台にしつつ、
フランスで培ったヌーヴェル・ヴァーグを思わせる技法で映画を作るのです。
その結果、物凄く魅力的な世界が出来上がる訳。
カメラワークが叙情的、そして光の明暗が本当に美しい。

この方の描く村上作品なら、
小説とはまた違った、
映画としての高い完成度と世界が出来上がる気がします。

さて、二本目の気になる映画は・・・
ベネチオ・デル・トロを起用したスティーヴン・ソダーバーグ監督作品。
以前からベネチオ・デル・トロはブラッド・ピットに似ている・・・そう思っていました。
そしてブラッド同様に、ゲバラにも似ているよなぁと。
で、出来上がったのが日本では来年公開予定の「CHE」
なんでも作品自体は二部構成で4時間28分だとか。
ゲバラの話なので興味があるのですが、
いかんせんソダーバーグが監督というところに魅力を感じません。
彼の撮った作品で心惹かれる作品はないんです。

先日行われたカンヌ映画祭のコンペで初お目見えしたらしいのですが、
結果は賛否両論とのこと。
やはりゲバラは今の時代でも
その顔が知れるイコンとして存在し続けるヒーロー像なだけに、
一役者が演じるとなると演技力に合わせ話の構成力、
リアリティーも問われてきますからね。

見には行きたいけれど、期待しすぎるとガッカリしてしまう可能性もありそうです。

| 01:28 | movie | comments(0) | - |
 崖の上のポニョ
公開からしばし時間を経ましたが、
昨日やっと「崖の上のポニョ」を見ることが出来ました。

感想を一言で言うのならば、
自分にとっては「凄く良かった!」と言える作品でした。

ポニョが動く、動く、動く!
キャラクターの感情を動きと表情に託す、それが凄く新鮮で温かい。
シンプルで真っすぐすぎる物語だと感じました。
だからこそ、物足りない方もいるのかもしれないけれど、
あえてこの形態で挑む宮崎監督の潔さは凄く魅力的だと思います。
それと同時に、今の宮崎さんでしか創れないだろう世界をまざまざと見せつけられた・・・そんな感じが凄くしました。

今までの作品と違い、
描き込まれた歴史を感じさせるダイナミックな背景はない、
距離のある壮大な冒険がない、
ストーリーの進行も奇を衒っていない、
主人公に対する悪役(いずれ愛着が沸く)も出て来ない、

これでは舞台を武器として惹き込ませること、
スピード感で観客を引き込むこと、
思わず観る側が考えさえられ、唸ってしまう展開、
それぞれのキャラクターを観客の頭の中で惹き立たせることは難しくなります。

言うなれば物語を作る上での全ての魅力的且つ絢爛豪華な装備を取っ払ってしまったよう。
そこに残った小さな塊は、ただ純粋な気持ちだけ。
まるで誰しもがまだ自分の世界とは違う外部に存在する価値判断に染まらずに生きていたころの想像力、それを思い出して欲しいと感じて欲しい作品のような気がしました。

知識もない、物の優劣も分からない。
家や背景を描く時のパースなど気にせずに、
ただ記号のような円や四角、丸しか描けないとしても、
画用紙に思う存分自分の感情を広げていた時代。
ただ画用紙に描く=楽しいと感じていた時代の気持ちにぽにょの存在はリンクするような気がするのです。

100%、何かを純粋に好きと胸を張って思える気持ちと無意識下生まれる人を労る心。
宮崎監督が拘った5歳という年齢。
自分が5歳の頃、どんなだったか・・・
今回の作品を機に思い返してみましたが、
今よりも自由だったことは確かな気がします。
毎日を精一杯笑って走って泣いて生きてた。
毎日の時間が凄く長く感じ、すぐに何かに夢中になれた。
世界の全ては自分を中心に回っていた気がします。
そう考えるならば、この年代の子供たちはみんな魔法がかかっていたのかも。
悲しいかな、映画の怒濤の最初の展開部分では
あまりに不可思議で現実味のないシーンもあり、
「ヲイヲイ」と思ってしまう箇所もありました。
でも自分が子供の頃なら何も不思議なことはなく、
全て受け入れることが出来たような気がします。

連れ立った友人と終幕後、色々と話したのですが、
幼稚園と老人ホームが隣り合っているのも面白いですよね。
幼少期と老齢期の間こそ、社会という世界に所属し、現実を見ろと言われる時間。
メインのキャラと舞台のほとんどを子供と老人が占めていることにより、
よりお伽噺のような不可思議な世界に仕上がるのかな。
けれども車椅子を使う老女たちの存在には多少現実味も覗かせている気がしました。

公開中にもう何回か観に行ってみたいなぁ。
それとね、鑑賞以来あま〜い蜂蜜ミルクティーが夜のお供になりました。
ああいう外が台風、
雨粒に覆われている室内で飲むというシーンの構成が本当に秀逸だと思いました。

それにしても宮崎アニメで描かれる女性像は強く、逞しく、美しい!
見ていて憧れる、気持ちのよい女性ばかりなのも嬉しいです。

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| 11:38 | movie | comments(0) | - |
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